挨拶を終えた私たちは、九月九日に婚姻届を提出した。
この日に特に思い入れがあるわけではなく、夏くんがお医者様だし覚えやすいから『救急の日』にした、という適当さが私たちらしい。秋奈にはムードがないと言われそうだけど。
夫婦になった日から夏くんのマンションで暮らし始め、あっという間に十日が過ぎた。
毎日彼と食事をして、一緒に眠って朝を迎えられる幸せを噛みしめている。退院してからはもうすぐ一カ月が経つので、来週から仕事にも復帰する予定だ。
まだ涼しさはあまり感じない九月後半の夜、私は帰宅した夏くんとバルコニーに出ている。
このバルコニーも、とっても綺麗な夜景が眺められるのにほとんど使われていなかったので、結婚してから小さなテーブルセットを置いてみた。そこに座って軽く晩酌しながら、会社でのことについて話している。
「大きな手術して休んでた上に急に結婚までしたから、皆どうしてそうなった!?状態で驚くんだろうな」
「慎太が余計なことしゃべらないといいんだけど。俺がずっと勘違いしてて告白できなかったまぬけだとか、天乃がいないと私生活終わってるとか」
「言いそう」



