余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

 患者さんからそんなに人気だなんて、お父さんは本当に素晴らしい名医なんだな。夏くんが彼を目指して脳外科医になったのも頷けるし、親子そろってスーパードクターになるとはすごいことだ。

「それに、僕が白藍を紹介すると、息子だから薦めたんじゃ?って思われたら嫌だって夏生が言うもんだから」
「親の七光りだとは思われたくなかったからな。でも、かしわ餅が好きだからって柏にするとは思わなかった」
「名前の由来、それ!?」

 夏くんの発言を聞いて私は思わずツッコんでしまい、皆が笑った。お父さんもなかなかぶっ飛んでるな……。

 彼は上機嫌で食事しながらも、ふいに苦笑を漏らす。

「それにしても、天乃ちゃんの腫瘍にはすっかり騙されちゃったよ。僕もいろんな症例を見てるし、この髄膜腫の存在も知ってはいたが、実際に執刀したことはないからなぁ」
「ああ。さっそく症例報告させてもらったから、もっと知識が普及するといいな」

 お父さんの言葉に夏くんが頷き、真面目な調子でそう言った。

 そっか、私の病気が誰かの役に立つかもしれないんだよね。だとすれば、この病を患ったのにも意味があったと思える。