余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

「東雲さん、先生のお嫁さんになるのは想像以上に大変だと思いますよ」
「えっ?」

 突然ストップをかけられた彼女は、すっとんきょうな声を響かせた。さすがの夏くんも目をぱちくりさせている。

 見ず知らずの女に邪魔されるなんて、意味がわからないしさぞ腹が立つだろう。でも、なんとしても結婚を阻止したい私はなりふり構っていられない。

 こうなったら苦肉の策だ。夏くんと結婚するデメリットを示しておこう。

「芹澤先生は、仕事の時はめちゃくちゃ敏腕だと思いますけど、プライベートはそうでもないんですよ。料理はカレーすらまともに作れないし、家事能力はないに等しいですから」

 これは事実。夏くんは家に帰った途端、完璧なドクターの仮面が剥がれて干物男と化してしまうのだ。

 清潔感がないわけではなく、人として最低限の生活はできているのだが、とにかく適当。食事は食べられればなんでもいいという感じだし、服も洗濯をした後はすべてカゴに放ってそこから取り出しているのでチェスト要らず。

 時間があればとにかく寝るし、完全にオフの日は昼間からお酒を飲むのがなによりの楽しみらしい。

 芹澤家に遊びに行ったのが始まりだった私は、最初にこの干物っぷりを見ていたので、男の人ってこんな感じか……くらいにしか思っていなかった。その後で白衣を着て凛然と働く姿を見たので、逆にカッコよさが爆上がりしたのである。