余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

「良性だ」
「…………え?」

 短く告げられたひと言に、私の口からまぬけな声がこぼれた。

 今、良性って言った? 悪性なんじゃないの?

 手術の後遺症で脳がバグったんじゃないかと一瞬思ったものの、彼はもう一度しっかりと告げる。

「良性だった。誰もが悪性だと疑うほど、ものすごく珍しい症例だったんだよ」

 聞き間違いでもない予想外すぎる結果に、私は唖然とするしかない。都合のいい夢かとまだ疑う私に、夏くんも信じられないといった調子でひとまず簡単に説明する。

 脳腫瘍には百五十以上の種類があり、詳しい情報がほとんどない症例もある。私の腫瘍はその数少ない症例のうちの髄膜腫らしい。MRIなどの手術前の検査ではわからない、特異的な成長をするものだと。

 たくさんの種類があるというのは前から聞いていたけれど、どのお医者様も、夏くんでさえも悪性だという所見だったから、それは間違いないのだろうと思っていた。まさか、そんな希少なものだったなんて。

「手術の最中、いつもの悪性腫瘍とはなにか違うって感じていたんだ。もしかしたら……と思ったけど、あまり期待させてもいけないから言わなかった。でも、これではっきりしたよ」