七月中旬の朝、寝起きの頭が冴えてきてから、少しだけ悩みつつスマホでメッセージを打つ。

【スルーしちゃっててごめん。まさかのインフルエンザだった。しっかり休んだからもう大丈夫】

 三人の友人たちとのグループトークにそれをポンと送信し、ベッドから出た。数日間休んでいてメッセージもまともに返せていなかったから、三人は不思議に思っていただろう。

 数分のうちに、彼らから返事が届く。

【マジか! まあ、今は夏でもかかるからなー】
天乃(あまの)がインフルになるなんて初めてじゃない? 元気になったならよかった】

 最初に返してきたのは五歳年上の男友達の慎ちゃんこと慎太(しんた)、次に高校時代からの親友である秋奈(あきな)が続いた。

 ふたりとも反応が早いな。まだ七時前なのに。心配してくれているふたりの顔が浮かんで、ふっと笑みをこぼして【ありがと】と返した。

 もうひとりのメンバーは、秋奈の兄である芹澤(せりざわ)夏生(なつき)だ。夏くんはすでに仕事中かもしれないし、休みだとしてもまだ寝ているだろう。

 私たち四人のつき合いは約九年になる。高校二年の時に秋奈の家に遊びに行ったのがきっかけで、当時大学四年生だった夏くんとまず知り合いになった。

 夏くんの同級生である慎ちゃんもちょくちょく家に遊びに来ていて、いつの間にか四人でつるむことが多くなり今に至る。社会人になった今も変わらず繋がっていられる存在は、なにげに貴重だと思う。