しかしりほさん自身は、夏くんを次期院長にしたくて結婚を望んでいるわけではない気がする。たぶん、彼女も私と同じなんじゃないだろうか。
「申し訳ないけど、俺は院長職には興味ない。それは東雲院長にも伝えた」
「あなたのメリットはそれだけじゃありません! 私は脳外科医の仕事にも理解がありますし、多忙で家庭のことがおろそかになってしまったとしても文句は言いません。完璧な妻になってみせますから」
さっぱりとした口調で断る夏くんに、りほさんは必死にそう訴えた。〝彼の妻になりたい〟という、彼女の切実な意思がひしひしと伝わってくる。
そっとふたりの様子を窺ってみると、どこか冷めた表情の夏くんの横顔が視界に入る。
「俺は、君と結婚してもたぶん家に帰らない」
穏やかな声色とは裏腹に冷徹な言葉が放たれ、私は息を呑んだ。〝家に帰らない〟だなんて宣言されたら、さすがにめげてしまうかも。
まるで自分に言われたかのごとく感じて軽くショックを受けるも、りほさんは覚悟を決めているような力強い表情をしている。
「……構いません。好きなんです。先生のことが」
まっすぐな告白が聞こえてきて、私の心臓がドクンと揺れた。
「申し訳ないけど、俺は院長職には興味ない。それは東雲院長にも伝えた」
「あなたのメリットはそれだけじゃありません! 私は脳外科医の仕事にも理解がありますし、多忙で家庭のことがおろそかになってしまったとしても文句は言いません。完璧な妻になってみせますから」
さっぱりとした口調で断る夏くんに、りほさんは必死にそう訴えた。〝彼の妻になりたい〟という、彼女の切実な意思がひしひしと伝わってくる。
そっとふたりの様子を窺ってみると、どこか冷めた表情の夏くんの横顔が視界に入る。
「俺は、君と結婚してもたぶん家に帰らない」
穏やかな声色とは裏腹に冷徹な言葉が放たれ、私は息を呑んだ。〝家に帰らない〟だなんて宣言されたら、さすがにめげてしまうかも。
まるで自分に言われたかのごとく感じて軽くショックを受けるも、りほさんは覚悟を決めているような力強い表情をしている。
「……構いません。好きなんです。先生のことが」
まっすぐな告白が聞こえてきて、私の心臓がドクンと揺れた。



