余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

《天乃ちゃんだったら、夏生のお嫁さんにするのも大歓迎だぞ。いい子だし、可愛いし》
「……父さんが可愛いとか言うと変態になりかねない」
《ばっかもーん! 孫みたいなもんだわ》
「娘じゃないのかよ」

 ツッコミどころ満載で笑えてきて、一瞬悩みを忘れそうになる。しかし、天乃の病気を知っていても結婚を許してくれる父は、本当によくできた人だと思う。

 寛大な父ばかりだなとほっこりしながら、「そのうち改めて挨拶しに行くよ」と伝えておいた。


 天乃の腫瘍は言葉や記憶を司る機能に近いため、手術中に麻酔を覚まして会話しながら腫瘍を切除していく方法で行う。難易度の高い手術だが、大事な機能がどこかを確認しながらギリギリのところまで腫瘍を取り除くことができる。

 頭を開いたまま意識を覚醒させる手術なんて、聞いただけでも恐ろしいだろう。

 当日パニックを起こさないようイメージしておくため、患者は手術の前日に看護師と一緒にオペ室を見学しながら説明を受ける。術中に写真を見せてそれがなにか答えてもらうテストをするので、その練習も行う。

 天乃も同様で、見学や説明は三浦さんに任せた。婚約者だという話は一応三浦さんにしてあるので、彼女は俺のことまで気にかけて『清華さん、全然怖がらずにドラマみたい!って興味津々に見てましたよ』と教えてくれた。