余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

 昔からあまり家庭にいない人だったが、帰ってきた時には大きな愛情を注いでくれた。だから母も秋奈も父を愛しているし、俺も彼を尊敬している。脳外科医を目指そうと決めたのも、無論父の影響だ。

 母や秋奈とも仲よくやってるかと、ごく一般的な父としての会話をした後、彼の声が少しだけ真剣さを帯びる。

《どうだ、MRI画像は見たか?》
「ああ。一カ月前と比べて大きさはほとんど変わっていないから、急激に育つタイプではなさそうだな」

 父から送ってもらった画像と、今まさに見ていた画像を比べてそう言った。

 俺が行おうと考えている手術についてあれこれ話すと、父のやや心配そうな声が聞こえてくる。

《夏生ならやるだろうと思っていたよ。でも、かなり難しい手術になるぞ》
「もちろんわかってる。それでも、希望を捨てたくはない」

 天乃を救うには手術するしかないが、他の医者がそれを避けたがるのもわかる。だからこそ、俺がやらなければ。

 迷いなく返すと、父は納得した様子で《そうか》と言った。彼が否定しないのは、俺を信じてくれている証拠。それが自信にも繋がるので、やはり父は偉大だ。