「勘違いしないでね。ここまでバレなかったのは、私の意地の賜物だから。変わっていく自分を見られたくなかったし、夏くんの患者にもなりたくなかったから必死に隠してたの」
彼女は「結局、お粗末なことになっちゃったけど」と付け足して、いたずらがバレた子供みたいに笑った。そしてもう片方の手を伸ばして俺の頬にそっと触れ、眉尻を下げて微笑む。
「そんな顔しないでよ。夏くんは医者失格なんかじゃないんだから。私のせいで、そんな風に思ってほしくない」
そう言われてはっとした。天乃が内緒にしたまま離れようとしたのは、自分のせいで俺が悔やむことを恐れたからでもあるんじゃないか。どれだけ手を尽くしても助けられない脳腫瘍患者の話をして、落ち込む俺を見ればなおさら。
自分を卑下している場合じゃない。天乃のために、今からでも全力を尽くさなければ。諦めるという選択肢など、どこにもない。
一番つらいのは天乃なのに、俺を思って微笑みかける彼女が健気で、なにより愛しくて、心にぬくもりを取り戻していく。
「天乃は強いな。俺なんかよりずっと」
「可愛げがないってこと?」
「やっぱり大好きってことだよ」
すねたように口を尖らせる可愛い顔を両手で挟み、いつもの笑みと甘い言葉をこぼした。そして、言い聞かせるように紡ぐ。
彼女は「結局、お粗末なことになっちゃったけど」と付け足して、いたずらがバレた子供みたいに笑った。そしてもう片方の手を伸ばして俺の頬にそっと触れ、眉尻を下げて微笑む。
「そんな顔しないでよ。夏くんは医者失格なんかじゃないんだから。私のせいで、そんな風に思ってほしくない」
そう言われてはっとした。天乃が内緒にしたまま離れようとしたのは、自分のせいで俺が悔やむことを恐れたからでもあるんじゃないか。どれだけ手を尽くしても助けられない脳腫瘍患者の話をして、落ち込む俺を見ればなおさら。
自分を卑下している場合じゃない。天乃のために、今からでも全力を尽くさなければ。諦めるという選択肢など、どこにもない。
一番つらいのは天乃なのに、俺を思って微笑みかける彼女が健気で、なにより愛しくて、心にぬくもりを取り戻していく。
「天乃は強いな。俺なんかよりずっと」
「可愛げがないってこと?」
「やっぱり大好きってことだよ」
すねたように口を尖らせる可愛い顔を両手で挟み、いつもの笑みと甘い言葉をこぼした。そして、言い聞かせるように紡ぐ。



