余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

 実は、楓に事情聴取のごとく根掘り葉掘り聞かれ、夏くんと両想いになったけれど付き合う気はないという話をしていた。

 夏くんなら、連絡が取れない状況では家に来る可能性も十分あると予想し、会わずに済むよう楓にうまくごまかしてほしいと頼んでいたのだ。

 やっぱり来たんだ、夏くん。彼がどんな思いでいるかを考えると胸が痛む。

「……そっか、ありがと」
「実際、姉ちゃんいなかったから嘘つかなくてよかったけど……本当にいいのかよ? このまま会わなくて」

 楓も完全には納得できていないようで、複雑そうな面持ちになっている。私の気持ちは変わらないのだが、それよりいつも心配してくれる弟に対する嬉しさが湧いてくる。

 ペットボトルを口に運ぶ彼に「ちょっと外出ない?」と誘って、リビングの窓から出られるウッドデッキに移動した。そこに置いてある椅子にそれぞれ腰かけ、生ぬるい夜風に当たりながら口を開く。

「楓はさー、なにげに姉思いだよね」
「あぁ? 俺が夏生さんとのこと聞いてたのに、話逸らすなよ」
「ほら、今もこうやって付き合ってくれてるし」
「話の途中だったからだっつーの!」

 荒っぽい口調で返されてもまったくイラッとせず、私はけらけらと笑って言う。