余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

 私は、心から想う人に〝好き〟という言葉を一度も口にしないまま人生を終えるの? 後悔しないために入院までの時間を延ばしているのに、これでは一番大きな悔いが残ってしまう。

 私は夏くんに嘘をついてばかりだ。でも、この想いにだけは嘘はつけない。つきたくない。

「……私の気持ちは変わらない。一生変わらないよ」

 ゆっくり口を開き、ぽつりと呟いた。一瞬悲しげな顔を見せた彼に、思いきって告げる。

「私もずっと好きだったから。これからも、夏くん以上に好きな人なんてできない」

 心の声が抑えられなくなった途端、涙も込み上げて視界が潤む。夏くんの顔がよく見えなくなったけれど、私を強く抱き寄せると同時に深く吐き出した息から安堵が伝わってきた。

「よかった……やっと抱きしめられた」

 愛しさで満ちた声が耳元で響く。それだけで天にも昇る心地になる。

「偽装婚約なんてしないで、もっと早く本当の気持ちを言えばよかったな」
「うん、私も」

 そうすれば幸せな時間を増やせていたのに。その後悔だけは消えないけれど、今だから伝えられたんだとも思う。