余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

 意外すぎる職業が飛び出して目が点になる。お茶目な可愛いおじいちゃんかと思ったら、なんとお医者様だったらしい。

「院長さん、なんですか!?」
「こう見えてそうなのよ。すぐそこにあるから、健康診断を受けるぐらいのつもりで気軽に来とくれ。今日休診日なんだけど、お嬢ちゃん可愛いから特別に開いちゃう」
「あ、りがとうございます……?」

 勢いでお礼を口にしたものの、本当についていって大丈夫なんだろうかと不安がよぎる。いやらしさは感じないけれど、これでただの変態おじいちゃんだったらどうしよう。

 いざとなったら走って逃げるぞ、と半信半疑でついていくと、五分も経たないうちにオレンジ色の屋根の建物が見えてきた。そのクリニック名を見てドキリとする。

 脳神経外科だ。できれば外れてほしかった自分の予想が当たってしまったかもしれないと、一気に緊張が高まる。

 でも、この機会に検査してもらったほうがいいよね。脳に異常がないとわかれば多少安心できるし。そう前向きに考えて、綺麗で温かみのある雰囲気の院内に足を踏み入れた。

 クリニックの名前からして、おじいちゃんは(かしわ)先生というらしい。私しかいないその空間で、彼はひとりでさくさくと検査の準備を進めていく。そして私は戸惑っている暇もなく採血され、人生初のMRI検査を受けた。