冬が終わっても春が来ても 君は、

「じゃあね、ハルちゃん。お疲れ様」

「あのさ、フユくん」

「どうしたの?」

「明日…って暇?」

「明日?うん、バイトも入ってないよ。ハルちゃんもだよね?」

「うん。良かったらさ、一緒に花火しない?二人で」

私ははぐらかしたりしなくても、二人で遊ぼうってちゃんと誘うことができる。
それは、私がフユくんに恋愛対象として見られてないからって知ってるからだと思う。

だからフユくんも警戒しないで来てくれるって自信があったから。

…悲しい自信だ。

「いいね。どこでしよっか?」

ほらね。「二人で」ってところはぜんぜん、気にもしてないよね。

「小学生の頃によく一緒に遊んだ公園あるじゃん?たぶん、ちょっとだけだしちゃんと片付ければ大丈夫だよ」

「じゃあさ、小さい花火だけにしようよ。線香花火とか」

「うん。じゃあ私が持っていくね?八時に待ち合わせでいい?」

「迎えにいくよ。危ないから」

「大丈夫だよ。忘れたの?うちの目の前だよ」

「でも…」

「だーいじょうぶだから!私、足速いんだから」

走る真似をしたら、フユくんがクスクスとおかしそうに笑った。

「そうだった」

「うん。じゃあ、遅刻しないでね?」

「おっけーい。また明日ね」

「また明日」

もし同じバイトで再会できていなかったら、
フユくんと「また明日」って言い合えることは無かったかもしれない。

恋人になれなくても、
フユくんが女の子として私を好きじゃなくても、
それだけで幸せなのかもしれない。

この先何度、ナツミの名前を聞き続けても。
フユくんの声が聞けるのなら。