冬が終わっても春が来ても 君は、

「二人だけで花火なんて初めてだよね」

翌日の夜八時。
フユくんは約束通り、遅刻しないで来てくれた。

一本目の線香花火に火をつけながら、
フユくんが楽しそうに鼻歌を歌った。

「はい」

「え?」

フユくんの指につままれながらパチパチって火花を散らせる線香花火。

「はやく、ハルちゃんのにも」

首を傾げながら、私は自分がつまんでいた線香花火を、フユくんの花火に近づけた。

フユくんの火玉と、私の線香花火の火薬のところがぴとってくっついて、
火はつかないまま、半分になった火玉がこっちに移ってきただけだった。

「あれ?」

「あはは。そりゃそーだよ。こうなるの、フユくん知らなかったの?」

「やっぱ小さいからムリかぁ」

「フユくんって抜けてるよね」

「えっ。もしかして貶されてる?」

「ううん。可愛いって言ってるの」

「かわいいー?可愛いかぁ…俺だって男なのになぁ」

ぷくって右の頬だけを膨らませたフユくんの無邪気さは、
本当に昔から変わらない。

それなのに一生懸命ナツミに恋なんてしちゃってさ。

そのうち男らしくなって、もうメソメソしたりもしなくなって、
ナツミの立派な王子様にでもなっちゃうのかな。