「帰りも一緒に帰ろうね~」
にこにこ笑顔を張り付けた幸夜くんにそうも言われてしまって、困ってしまう。
一緒に帰ったりしたら、カギを買いに行けない。
「今日は、用事があるから……」
二人から目を逸らしながら、食べ終わったお弁当の蓋を閉じる。
「また花と榴か?」
そっちを向いてないのに、鋭い咲仁くんの視線が突き刺さるのがわかった。
「違うけど……」
「じゃあ、ダメだ」
案の定、冷たく言い切られてしまった。
「危ないから、僕らと一緒に帰ろう。用事があるなら、付き合うからさ」
幸夜くんは優しく言ってくれるけど、買うのが部屋の鍵だってわかったら、阻止される予感しかない。
「絶対に一人で帰んなよ」
咲仁くんに釘を刺されてしまって、どうしたらいいのかわからない。
「オマエは俺の言うこと聞いてればいいんだよ」
「なんで……!」
さすがに横暴が過ぎると抗議しようと口を開けた瞬間、咲仁くんが激しく咳き込んだ。
咲仁くんが咳をするのはいつものことだったけど、いつもの咳より長くて苦しそうだった。
「大丈夫……?」
体をくの字に曲げて咳き込む咲仁くんの背中に、思わず声をかけてしまう。
大丈夫なわけないし返事をする余裕があるようにも見えなかったけど、そう聞かずにはいられなかった。
口元を押さえて咳き込んでいた咲仁くんが落ち着いて、顔を上げる。
そして、口の端をぬぐう仕草。
一瞬、赤い色が見えた。
血?
「あー……ケチャップだ。メシでむせただけだ」
青ざめる私の視線に気づいた咲仁くんが、バツが悪そうに言う。
でも、咲仁くんは私よりも先に食べ終わってもうお弁当も片付け終わってた。
「気にすんな」
そう言う端からまた咳き込んで、顔をそむける。
「兄さん、保健室行こっか」
全員分のお弁当を回収して片付け終わった幸夜くんが立ち上がって、咲仁くんを促す。
大人しくそれに従う咲仁くんが、なんだか珍しかった。
それだけ体調が悪いってことなんだと思うと心配でたまらない。
「そんな顔すんなって。まだ寝たりねえから、寝てくるだけだ」
よっぽど心配が顔に出ていたのか、咲仁くんにデコピンをされてしまう。
「もお、兄さん。乱暴! ごめんね、珠子ちゃん」
打たれたおでこを押さえながら、教室を出ていく二人を私は見送った。
にこにこ笑顔を張り付けた幸夜くんにそうも言われてしまって、困ってしまう。
一緒に帰ったりしたら、カギを買いに行けない。
「今日は、用事があるから……」
二人から目を逸らしながら、食べ終わったお弁当の蓋を閉じる。
「また花と榴か?」
そっちを向いてないのに、鋭い咲仁くんの視線が突き刺さるのがわかった。
「違うけど……」
「じゃあ、ダメだ」
案の定、冷たく言い切られてしまった。
「危ないから、僕らと一緒に帰ろう。用事があるなら、付き合うからさ」
幸夜くんは優しく言ってくれるけど、買うのが部屋の鍵だってわかったら、阻止される予感しかない。
「絶対に一人で帰んなよ」
咲仁くんに釘を刺されてしまって、どうしたらいいのかわからない。
「オマエは俺の言うこと聞いてればいいんだよ」
「なんで……!」
さすがに横暴が過ぎると抗議しようと口を開けた瞬間、咲仁くんが激しく咳き込んだ。
咲仁くんが咳をするのはいつものことだったけど、いつもの咳より長くて苦しそうだった。
「大丈夫……?」
体をくの字に曲げて咳き込む咲仁くんの背中に、思わず声をかけてしまう。
大丈夫なわけないし返事をする余裕があるようにも見えなかったけど、そう聞かずにはいられなかった。
口元を押さえて咳き込んでいた咲仁くんが落ち着いて、顔を上げる。
そして、口の端をぬぐう仕草。
一瞬、赤い色が見えた。
血?
「あー……ケチャップだ。メシでむせただけだ」
青ざめる私の視線に気づいた咲仁くんが、バツが悪そうに言う。
でも、咲仁くんは私よりも先に食べ終わってもうお弁当も片付け終わってた。
「気にすんな」
そう言う端からまた咳き込んで、顔をそむける。
「兄さん、保健室行こっか」
全員分のお弁当を回収して片付け終わった幸夜くんが立ち上がって、咲仁くんを促す。
大人しくそれに従う咲仁くんが、なんだか珍しかった。
それだけ体調が悪いってことなんだと思うと心配でたまらない。
「そんな顔すんなって。まだ寝たりねえから、寝てくるだけだ」
よっぽど心配が顔に出ていたのか、咲仁くんにデコピンをされてしまう。
「もお、兄さん。乱暴! ごめんね、珠子ちゃん」
打たれたおでこを押さえながら、教室を出ていく二人を私は見送った。



