エルピスの花嫁~双子の神様に愛されて~

「結局、珠子ちゃんは兄さんのことどう思ってるのさ!?」

「えっ?」

蚊帳の外だと思っていたのに急に話を振られて、卵焼きを口に運ぼうとしていた手が止まる。

「怖い」

 反射的に答えていた。

「兄さんも!?」

「俺もって……オマエも珠子に怖がられてんのかよ」

 幸夜くんは驚いていたけど、咲仁くんは呆れていた。
 自分で言っておいてなんだけど、私、怖いって思ってる双子と一緒に寝てごはん食べてるんだ……なかなか凄い状況だと改めて思う。

「あ、珠子ちゃん。ケチャップ」

 止まっていた手を動かして卵焼きを口に入れると、ケチャップが私の手のひらに落ちてきた。それにすぐ気が付いた幸夜くんが私の手をつかんで、そのまま手のひらを食べた。
 幸夜くんの舌が私の肌を舐めて、全身に鳥肌が立つ。一緒にいると、体温が上がって仕方がない。

「なんで珠子に怖がられてんだよ」

「えー、カッコ良すぎて怖いみたいな?」

「嘘つくな」

 真っ赤になって硬直している私とはウラハラに、幸夜くんは何事もなかったように咲仁くんと話している。
 咲仁君も見てないはずなのに、平然としていた。

 なんで二人とも平気なの? 海外だとこれが普通なの? 本当に意味がわからない。

 ――やっぱり、二人とも怖い!

 私の結論は、やっぱりそれだった。

「二人のベッドって、今日届くんだよね?」

 せめて、川の字で寝るのは昨日で最後にしてもらいたい。
 そう思って確認のために言っただけの言葉だったはずなのに……

「キャンセルした」

 咲仁くんが信じられないことを口にした。

「なんで!?」

 足元で椅子が鳴る。
 私は思わず立ち上がっていた。

「必要ないだろ」

「今日も一緒に寝ようね~」

 幸夜くんもキャンセルを承知しているみたいで、にこやかにほほ笑みかけてくる。
 私の味方は誰もいなかった。

「あんなんじゃ、あんまり寝れないでしょ!? 咲仁くんだって、それで眠かったんじゃ……」

「いいから、オマエは俺らと寝るんだよ」

 咲仁くんに睨むような目線を向けられて、腰を下ろしてしまう。
 視線が怖くて、言葉が続かない。

 私の部屋に、私のベッドはある。
 昨日みたいにならないためにも、早くカギをつけなきゃ……!