エルピスの花嫁~双子の神様に愛されて~

     *

 夢を見た。

 私は紫のワンピースのようなものを着ていた。編み込んだ髪を黄色いヴェールで覆い、松明の灯された道を行く。
 夢のなかで、私はこれが結婚式だと理解していた。純白のウエディングドレスとは程遠い恰好をしているのに、自分が花嫁だと理解していた。
 麗しい音楽をバックにスミレの花が投げられ、私が歩んでいくその先に花婿がいた。
 ヴェールが邪魔をして、白い衣装の花婿の顔が見えない。
 部屋に通され、私は花婿と二人っきりになった。花婿はゆっくりと私に近づくと、ヴェールを手にする。
 ヴェールが払いのけられ、私が見た花婿は――

 ――――!!

 目を覚ました私は、喉から出かかった悲鳴を必死で飲み込んだ。
 胸を突き破って出てくるんじゃないかと早鐘を打つ胸を押さえて、私は布団から状態を起こす。

 目を覚ました私が見たのは、幸夜くんのドアップだった。

 まつ毛の色も髪と同じ明るい色で、マスカラつけた私よりもボリュームがあった気がする。
 お目覚め早々、まつ毛の本数まで数えられそうな距離で幸夜くんの華やかな顔を見るのは心臓に悪い。

 心臓が落ち着くと、今度はため息が出た。

 私の布団の左隣にぴったりと自分の布団を寄せて、幸夜くんが眠っている。
 反対側を見れば、同じように布団を寄せて咲仁くんが眠っている。

 幸夜くんは私に顔を向けて布団を首まで埋もれて丸くなっている。私の布団に侵入こそしてないけど、敷布団ぎりぎりの端っこまで寄ってきていた。ほんと、顔が触れそうな距離でドキドキした。
 咲仁くんは――よくわからなかった。たぶんそこにはいるんだろうけど、うつ伏せで頭の上まで布団をかぶっていて髪の毛が辛うじて見えているだけ。長い脚が反対側からはみ出していた。

 私のベッドで川の字になるよりはマシだからと、リビングに布団を三枚敷き詰めて川の字になったけど、それでも安眠にはほど遠いみたいだった。

 私は大きなあくびをすると、二人が起きる前にと布団を抜け出した。