『ハッピーバースデー!
16歳のお誕生日おめでとう。
珠ちゃんと一緒にいるといつも元気をもらえるな。
これからもよろしくね。
明日のプレゼント、楽しみにしてて。
放課後のケーキも楽しみ!』

 ベッドに横になりながら、スマホの画面を眺める。
 ピコピコと花束を持ってしっぽを振る黒いワンちゃんのイラストと一緒に表示された、メッセージに思わず笑みがこぼれた。
 さすが花。0時00分の誕生日になった瞬間にメッセージ送ってくれるなんて最高。
 花からのメッセージを見ていたら、またピロン♪ とスマホがメッセージを受信した。パパからだ。

『Dear 珠子
お誕生日おめでとう。
あんなに小さかった珠子がもう十六歳かと思うと感慨深いです。
一人の生活には慣れましたか?
誕生日なのに帰れなくてごめんなさい。
クリスマスまでには一時帰国出来ると思います。
お友達と楽しい誕生日をお過ごしください。

P.S.取って置きのプレゼントを送りました。
明日の朝には到着すると思うので、楽しみにしていてください。』

 文字だらけで堅苦しいパパからのメッセージ。父一人子一人の家庭にも関わらず、娘を置いて海外に行ってしまう薄情者だけど、ちゃんと日付けが変わってすぐメッセージを送ってくれたから許してあげよう。
 0時00分に送ってきた花には負けてるけど、パパには時差があるからセーフってことで。
 それにしても二人とも、長文でなんだか怖い気もする。
 スマホを眺めたまま、ごろんと仰向けに寝転がる。

「プレゼントってなんだろう」

 パパが取って置きというからには私が気に入る自信があるんだろうけど、パパのセンスは正直期待できなかった。
 でも、海外で買ったものだろうからちょっと楽しみ。
 私は明日届くプレゼントに胸を膨らませながら、目を閉じる。
 まさかあんなものが届くなんて、夢にも思わずに……