────そんな日々が、気づけば1週間は続いていた。
朝も帰りも愛沢くんに待ち伏せされてしまい、休み時間には必ずわたしのところへ来る。
逃げ場なんてない。
当然ながら星野くんと話す機会もなくなって、行動はかなり制限されていた。
分かりやすく脅されているわけじゃない。
だけど、だからこそ嫌でも察するものがあった。
従わないと、意に沿わないとどんな目に遭うのか。
予感はほとんど確信に変わっていて、彼との“日常”は少しずつわたしの心を蝕み始めていた。
(普通……じゃないよね)
平気だと思い込もうとした。
不器用で嫉妬深いという彼なりの愛情表現なのだと、分かろうとした。
けれど、愛沢くんの態度は尋常じゃない。
日に日にそんな思いが強まって、不信感へと繋がっていく。
昼休み、いつも通りわたしの席へとやってきた愛沢くんは、ばん! と強く机の天板を叩いた。
驚いてびくりと肩が跳ねる。
怖々としてしまいながら見上げた。
「……俺以外のやつと話すなよ」
「え……」
さすがに冗談であって欲しかったけれど、苛立ちを募らせたような眼差しは真剣そのものだった。
本気であることを物語っている。
「星野くんとは、最近はひとことも……」
「あいつだけじゃなくて、クラスのやつとか全員だよ」
「そんなわけにいかないよ。それに話したっていうか、落としたもの拾ったりとかそれくらい────」
「返事は?」
彼は淡々とわたしの顎をすくって目を合わせた。
わたしの反論はまるごと無視だ。
自分にとって都合の悪いことはぜんぶ、その耳に届くこともなければ心に響くこともないらしい。
当然ながら、受け入れるつもりも。
「…………」
胸の内にもやもやが広がっていくのを感じながら、そっと彼の手を押しのけるように払った。
納得できない。
だけど、反論する勇気なんてない。
せめて“返事をしない”というのが、いまできる最大限の抵抗。
けれど、彼は終始そんな調子だった。
異性のみならず同性の友だちでさえ、話すと嫌な顔をする。
どんな些細なやり取りでも、彼はその都度機嫌を悪くするのだ。
そして、それをわたしに分からせないと気が済まないみたい。
何においても愛沢くんを優先しないと機嫌を損ねた。
お陰で星野くんと接する隙はもう完全に見失っていた。
(それどころか、わたしの自由も……)



