しゃがみこんでミーコと視線を合わせていることから、本当に心配しているんだろう。
それでも恐怖心は払拭されずに尚美はプルプルと小刻みに体を震わせる。

このまま、保健所行き……!?
と、思った時両手で優しく抱き上げられていた。

震える尚美の体をさすりながら「ごめんな。怖かったよな」とささやく。
え……?

予想外の言葉に尚美はようやく視線を健一へ向けた。

「戸棚を開けれないようにしておくべきだった。昨日の買い物で調達できたのに、忘れてたんだ」

床の惨状をまるで自分の責任だとでも言うように悔しそうな顔をする。
ち、違うの。

これは全部私のせいで!
慌てる尚美の体を強く抱きしめる健一。

「だけどミーコに怪我がなくてよかった」
そのつぶやきに、尚美の震えは止まったのだった。