大好きだったビスケットもケーキもチョコレートもスナック菓子も、あれもこれも食べられないなんて!!

尚美の絶望はお菓子を食べられなくなったところにあるみたいだ。
なんて冗談はさておいて、本当にこのままでは困る。

仕事だって残っているし、なによりも猫として一生過ごすなんてどうすればいいか皆目検討もつかない。

このまま健一に飼われているわけにもいかないし……。
そんなことを1人思案していると、健一の長いまつげが揺れた。

ハッとして視線を向けると寝起きの健一が薄目を開けてこちらを見ている。
なんだか色気を感じる視線に尚美はたじろぐ。

悪いことはしていないはずなのに、なんとなく寝起きを見てしまったことへの罪悪感が胸をよぎった。