程よく筋肉のついた肉体を目の前にして心臓がドキドキしてくる。
このままでは温まるを通り越して沸騰してしまいそうだ。

そんなこととはつゆ知らず、健一は丁寧に尚美の体を洗っていく。
土で汚れた肉球は念入りに指先でこすられてしまった。

もし、もし今ここで自分の体が人間に戻ったら?
なんてことを考えてしまって余計に頭がカーッと熱くなってきてしまう。

ブンブンと左右に首を振ると健一に泡が飛んで怒られてしまった。
「さ、キレイになった。乾かしてあげるから、そこで少し待っててな」

先に脱衣場に出された尚美は安堵のため息を吐き出して、すっかりのぼせてしまったためそのまま冷たい床にねそべって目を閉じたのだった。