「ママ! その猫なに!?」

「健一さんが飼っている猫でミーコちゃんって言うの。退院するまで預かることになったのよ」

説明しながら尚美を裕太へ手渡す。
裕太は乱暴に尚美の体を受け止めるとおもちゃみたいにぎゅーっと抱きしめた。

力加減を知らない子供に骨がミシミシと悲鳴をあげる。
「こら裕太! ミーコちゃんが痛がるようなことしちゃダメでしょ」

「はぁい!」

わかっているのかいないのか、尚美はそのまま裕太に連れられて屋敷内へと入っていくことになったのだった。