待って!
その体は私なの!

私はここにいるの!
必死に訴えかけるけれど、なぜか誰も聞いてくれない。

それになんだか視界がとても低いのだ。
尚美は身長が158センチあるのに今見えている世界はみんなの膝よりも下くらいだ。

混乱している間に尚美の体は救急車に乗せられて行ってしまった。
野次馬たちも警察に捕まって事情を説明している数人を覗いては散らばっていく。

そんな、なんで……。
またその場に立ち尽くしたとき、パッパッー! と車のクラクションを鳴らされて尚美はビクリとその場で飛び跳ねた。

見ると信号は青色に変わっていて、自分が事故にあった車線を覗いては車も行き交い始めている。

尚美は慌てて歩道へと逃げたのだった。