ほんの短い時間。
それでも、天海双葉と密室でふたりでいるのは耐えられない。
なんて思いながらふと彼の方を見たら、バチッと視線がぶつかった。
着崩した制服とピアス。
普段女の子と距離近めで話している様子を知っているから、警戒心を抱いてしまう。
「なーに、その目」
「……別に、」
「ふっ。大丈夫。病人襲うほど飢えてない」
「なっ……」
やっぱり、最低だ。
よくもそんな、恥ずかしげもなく……!!
こんな人と過ごしていたら、どんどん悪化していきそう。
いつもは一瞬のエレベーターが、すごく長く感じてしまう。
やっと、チーンという電子音が鳴り扉が開く。
すぐこの場から飛び出そうと足を一歩出した時だった。
「うっ……」
ズキンっと強い頭痛と共に、視界が歪む。
足がもつれて、思わずエレベーターの壁に手をついた瞬間、強い腕が、私の身体を支えた。
「もうちょっとだから。頑張って」
耳元で天海くんの声がして、そのまま肩を貸されながらエレベーターを降りる。
「鍵、どこ?」
「……そこ」
カバンを掲げられ、私は鍵が入っている方のポケットを指差す。
天海くんがすぐに鍵を見つけ、ドアに指してカチリと音がしたのを聞いて、私の意識はそこでぷつりと途切れた。



