となりの色気がうっとうしい


いつもよりも少し低い気がする落ち着いた声を聞いて、まだ重い体を引きずるようにベッドから足を下ろし、上履きを履いてカーテンの方へ向かう。


「あぁ、天海くん。西木さんならまだ寝て……え、西木さんっ!?」


シャッとカーテンが開かれた音に反応したふたりが、目を見開いてこちらを見ていた。


養護教諭の先生と……天海くん。


「西木さん、横になってなくて大丈夫?かなり熱があるみたいだから、今日は早退しなさい。天海くんが、あなたのカバンも持って来てくれたから」


「え……」


そう言われて、天海くんの右手を見れば、確かに、私のバッグを持っていた。


「親御さんに連絡したんけど……」


「母、仕事忙しいので。あの、もう、だいぶ良くなったので。天海くんも、わざわざカバン持ってきてくれたけど、大丈夫だから」


「えっ……ちょっと、西木さん?」


「いやいや、月雨ちゃん、何言ってんの。先生が帰んなって言ってるんだから……」


彼の手からカバンを受け取ろうと手を伸ばしたら、カバンがひょいっと上に持ち上げられた。


「……休むなんて、ありえない」


無断欠席や遅刻が当たり前のこの人に、私の気持ちなんてわからない。