となりの色気がうっとうしい



痛い……すれ違う生徒たちの視線が。
みんな何やらコソコソ話しているし。


どんなことを囁かれているのかは、大体予想できる。


───なんであの天海双葉の横に、あんな冴えない女が、なんて内容だろう。


隣の彼は、知り合いに名前を呼ばれるたびに、笑顔で挨拶していつも通りって感じ。


最悪だ。帰りたい。いや、出席日数のためにも、帰れないんだけど。


「おっ!双葉おはよう!」


「わー!双葉くん、2日連続遅刻せず!?すご〜い!」


彼が教室の前の扉に着くと、クラスメイトの自然は一気にこちらに集まった。


あぁ……嫌すぎる。
私はこっそり後ろから入ろう。


そう考えて、一歩後ろに下がろうとした時だった。
いきなり、肩に手が回された。


こ、こいつっ!!


ギッと、隣を睨みつけると、こちらの視線に気付いた彼のその口元がニヤリと上げられた。


最悪。わざとだ。


「月雨ちゃんの出る時間に合わせたから、ね」


まただ。


“月雨ちゃん”
その呼び方、大嫌い。


「え、え、え、ちょっと待って?なに、ふたり、一緒に来たの?」


「別クラスでも騒がれてるよ。フウキさんが天海と歩いていたって」


“フウキさん”
風紀委員からきてるんでしょ?


なんておかしそうに昨日話していた天海双葉の表情が脳裏に浮かぶ。