「入院?何処か悪いのか」

「また貧血になったらしいわ」

「なんでそんなところに、すぐこっちの病院へ転院させる」

「駄目よ」

「なんで駄目なんだ」

「健志の診療所なの、立木さん、情緒不安定だからしばらく健志が預かるって」

「このまま放っておけるか」

「廉也、私が行って立木さんが何を思って、今回の行動に出たか、聞いて来るから」

「俺も行く、もう、我慢の限界だ」

「子供みたいな事言わないで」

ゆかりは廉也を宥めた。

そこへ宇佐美不動産のご令嬢宇佐美麗子が、廉也を訪ねて来た。

「社長、宇佐美不動産のご令嬢宇佐美麗子様がお見えになりました」

「じゃ、また連絡するから」

ゆかりと入れ違いに、麗子が社長室に入って来た。

「廉也様、父が結婚の話を早く進めるようにと急かすものですから、今日伺いました」

「誰と誰の結婚話ですか」

「もちろん、廉也様とわたくしのです」

「ちょうど良かった、今回の御社と弊社の契約は無かったことにしていただきます」

「どう言う事ですの」