「そうか、それなら、早く立木くんを見つけて結婚しろ」

「親父」

「宇佐美不動産との契約は、どうするかお前に任せる、わしも焼きが回ったな、若い子にすっかり騙された」

廉也は病室を後にした。

廉也は会社に戻り、高城にこれからの事を指示した。

「高城、宇佐美不動産との契約は解除する、書類の作成を頼む」

「社長、違約金が発生致しますが、よろしいのでしょうか?」

「構わん」

「かしこまりました」

「それから立木の退職届の受理を取りやめてくれ」

「かしこまりました」

廉也はすぐにみゆの行方を血眼になって捜したが、全く情報が無く、悪戯に時間だけが過ぎた。

その頃私は海に囲まれた孤島にいた。

ゆかりさんに貧血の薬を続けるように言われていたが、それどころではなかったので、すっかり忘れていた。

時々めまいがして立っていることが辛く、薬飲まなくちゃと思い始めていた。

急にめまいが襲いその場にへたり込んだ。

「大丈夫ですか?」

私を支えて気遣ってくれた男性がいた。