大好きな気持ちが日に日に大きくなって、廉也さんのいない世界は考えられないと思った。

(このまま廉也さんを信じて着いて行っていいのかな?)

その時嫌な記憶が蘇った。

(廉也さんは桂木ホテルリゾート株式会社の社長なんだ、と言うことは廉也さんが社長夫人に相応しい女性との結婚が決まるまでの恋愛になる、龍司さんの時と同じだ)

(引き返す事が出来なくなる前に、廉也さんとの距離を置かないと私、今度こそ立ち直れない)

でもたわいもない毎日が幸せ過ぎて、私のアンテナは作動していなかった。

そう、私のアンテナはいつも危険を察知する、そうして危険を回避してきた。

龍司さんの時も、アンテナは敏感に作動した。

いろいろな情報にも疎くなっていた。

(この状態を世間一般に幸せボケと言うのだろうか?)

廉也さんは今日から一週間の出張に出掛けることになった。

「一週間もみゆに会えないなんて、仕事どころじゃないな」

「そうですね」

私は寂しくて涙が溢れた。

涙を悟られないように下を向いていた。