「そうなの、健志がみゆさんのマンションに行った時、急に倒れて、救急搬送されたの」

廉也の頭の中は真っ白になった。

「すぐ、日本に帰る」

「待って、みゆさんは日本に帰って来てくれることを望んでいないわ」

「何を言ってるんだ、みゆが入院しているのに、俺はどうしてアメリカにいるんだ、おかしいだろう」

「廉也は桂木コーポレーションの社長として、今は東城氏との契約を進めないと駄目よ、みゆさんは自分が足手まといになることを恐れているのよ」

廉也はスマホを切った。

「廉也、廉也」

廉也は頭を抱えて叫んだ。

「ああ、あ~ああ~」

(なんで俺はみゆを一人にしたんだ、罰があたった、みゆが苦しんでるとき、側にいるのが俺じゃなく健志なんだよ)

(みゆ、ごめんな、ごめんなみゆ)

その頃、みゆは意識が戻った。

「みゆちゃん、大丈夫」

「北山先生、私、どうしちゃったんですか」

「意識を失って倒れたんだ」

「すみません、ご迷惑かけてしまって」