「あの、これは」

「当面の資金だ、それからうちのメインバンクを紹介する、後は自分でなんとかしろ」

「ありがとうございます、必ずお返し致します」

「当たり前だ、みゆちゃんを幸せに出来ない男に、わしの大事な金はやれん」

「申し訳ありません」

俺は東城氏に深々と頭を下げた。

「会社を立て直してから、みゆちゃんを迎えに行けよ、まさかこのまま引き下がるつもりじゃあるまい?」

「会社もみゆも諦めません」

「そうか、その言葉信じるぞ」

「はい」

俺は東京へ戻り、会社の立て直してに全力を注いだ。

それからしばらくして、与那国島の診療所に一人の男性が訪ねて来た。

東城ホールディングス会長、東城慎太郎だ。

「あのう、立木みゆさんはこちらにいらっしゃいますでしょうか」

私は振り向くとそこには慎太郎さんが立っていた。

「みゆ、元気だったかい」

「慎太郎さん」

私は思わず駆け寄り、慎太郎さんの胸に飛び込んだ。

暖かな温もりを求めている子供のように……