いつのまにか7月になり、からっとした天気の日が増えた。
期末テストが終わって、夏に向けて勉強も遊びも盛り上がっている。
クラスは今まで通り平和で、文化祭の計画も始まった。
九月なんてまだまだ先に思えるけど、夏休みが終わったらあっという間に文化祭が来る。
学級委員としての仕事も徐々に増えていた。

今日は放課後に大事な話し合いがある日。
桔梗と小説を書けないので、いつもより憂鬱な日だ。
朝から気が重かった。だんだんと肌に刺さるようになってきた日光は昨日より暑い。

汗だくで教室に入ると、クーラーが効ききっていないせいで熱気が漂っていた。
扇風機を回して、冷たい風を教室全体に送った。

期末テストの直しをして、ホームルームまでの時間を過ごした。
数学の問題が難しい。桔梗はまだ来てないから後で聞こう、と思った。

イヤホンで最近お気に入りの音楽を流して、気持ちはノリノリで勉強する。
いつの間にか時間になっていて、担任が来たことを確認してからイヤホンをしまった。

「せんせーい。葛西くんが来てませーん」

桔梗の隣の席の女の子が言った。
まさかそんなこと、と思ったけど、たしかに桔梗の姿はどこにもなかった。
休むなんて連絡は来ていない。
いくらプライベートなことを教えてくれないとはいえ、それくらい連絡してくれたっていいのに。

でも桔梗なら、教えてくれるような気がした。
牡丹が心配しちゃうから、って笑って。