「じゃ、さっそくいただきます」 そう言った藍くんは不意にわたしの手を掴んだかと思うと、わたしが持っていた半溶けのカップケーキをひと口かじった。 伏せられた睫毛がつやつや光っている。 ちろりと覗く赤い舌先が、なぜか色っぽい。 手を掴まれたままでいるせいか、咀嚼する彼から目を離せない。 緊張でからからになった口を開き、躊躇いがちに問う。 「どう、かな……?」 「ん、うまい」 「本当……!?」