すると密は、右手を差し出してきた。 「これ、由瑠ちゃんから藍に。渡してくれって頼まれたんだ」 その手に乗るのは、白い鳥のキーホルダーだった。 それは、花火大会で由瑠が買っていた"幸運を運ぶキーホルダー"だった。 「これはオレの勘だけど、由瑠ちゃんはもう藍に会う気はないんだと思う……」 「は……?」 自分のことは置いておいて、俺に幸せになれって? ――なんだよ、それ。