神崎くんはすべてを達観したように目を伏せ、くすりと小さく微笑んだ。 「実はね、今日の朝、俺の教室に千茅先輩が来たんだ」 「え? 藍くんが?」 「千茅先輩、俺を呼び出して言ったんだ。『由瑠のことを傷つけたりしたら絶対にお前を許さない』って」 「え……」 「すごく大切に想われてるんだね」 なにそれ……。 そんなの聞いてないよ、ずるいよ……。 知られざる藍くんの行動に、胸がきゅーっと真綿で締めつけられているように苦しくなって、わたしは下唇を噛みしめた。