それから藍くんがわたしの首筋に顔を埋めた。 「ん……っ」 肌を吸われただけで、びくんと身体が揺れてしまう。 発情しているせいで、とても敏感になっている。 身体の奥底に眠っていたわたしも知らない欲望が目を覚ます。 身体を起こした藍くんは、わたしを温度のない瞳で見下ろし、艶のある平坦な声で言い放つ。 「キスくらいで泣いてるてんじゃねぇよ」 その言葉で初めて気づいた。 自分が今、涙を流していたことに。