「よう」 振り返れば、藍くんがそこにいた。 グレーの濃淡で描かれた縞模様の浴衣を身に包んだ藍くんは、いつもと違う雰囲気をまとっていてかっこいい。 和服までこんなに着こなしてしまうなんて、なんだかずるい。 「えっ、藍先輩じゃないですか!」 わたしの声に、隣の屋台を見ていた瑛麻ちゃんが気づく。 「あああああ藍先輩!」 藍くん信者の流星くんは、緊張と興奮ですっかりかちこちだ。 「どうしてここに? っていうか浴衣姿、似合いすぎです……!」 瑛麻ちゃんが目を輝かせて早口でまくしたてる。