「わたしの勝ち?」 「完敗。まじでお前、タチ悪い……」 ちょっと拗ねたように上目遣いで見上げてくる藍くんに、きゅんと胸が甘い音をたてる。 いつも余裕そうな藍くんのこんな顔、見たことない。 すると、その時。 「ふわ~、よく寝た~」 ベッドの方からそんな声が聞こえてきて、見れば瑛麻ちゃんが起きたところで。 わたしは慌てて、藍くんの膝の上から飛び上がる。 初めて藍くんに勝てたけど、その理由はよくわからなかった。