強い引力に導かれるように、わたしはおずおずと口を開ける。そして。 ぱくり。 藍くんがわたしの口の中にチョコをそっと押し込んだ。 わたしの唇に、ふにと藍くんの人差し指が触れる。 熱で柔らかくなっていたチョコは、口の中ですぐどろりと溶ける。 「うまい?」 「おぃ、しい……」 つんと鼻に抜ける洋酒の香り。 大人でビターな味わいが口いっぱいに広がる。 藍くんに見つめられたまま、甘い塊をごくんと飲み込む。