「…!り……!…リリ!」

ガバって体を起こしたら凛子(りんこ)が私を上から見下ろしている。
ミルクティーブラウンのストレートロングヘアが顔にバサってかかって、払いのけた。

「よくこんなところで寝れるよね」

凛子がもう一回仰向けに寝そべった私の隣であぐらをかいた。

屋上。
アスファルトの地面。

そりゃ地べたに平気で寝る女なんてそうそういない。

お腹いっぱいだし、気持ちよすぎる秋の風が悪いと思う。
こんなの寝てくださいって言ってるようなもんだし。

「五時間目、始まるよ」

そう言ったくせに凛子はどうでもいいことみたいに、持っていたパックのココアにプスってストローを刺した。

「んー…眠たいねぇ」

「全然聞いてないじゃん」

凛子の腕を掴みながらなんとか体を起こした。
「痛いっ痛い!」って凛子に文句を言われた。

「いこっかぁ」

「なんだ?サボんないの?」

パックに刺さったストローをくわえたまま、凛子は片手で私の髪を整えた。

「ん。これ以上サボったら単位あげないって」

「モブセンが?」

「ん」