「いりませんよね?こんなもの」


だけどなぜか彼は仏頂面だったから、おやって思った。


「捨ててきましょう」


「だ、ダメだよ。どうして?」


自分が持ってきといて捨てるって、わけがわからないよ。


もしかして、照れているんだろうか。
にしては、なんだか様子がおかしい。


「私に買ってきてくれたんでしょ、嬉しいな」


思わず頬が緩んで、うっとり薔薇の花を見つめる。


「紫音ありが「違います、俺からじゃありません」


お礼を言おうとしたら、すかさず遮られた。


そして、気まずそうに眉を下げて、ボソッとこう言った。


「あの人からです」


「あの人って誰?」


「さっき沢田が持ってきて。若葉お嬢様に渡してくれと言われて」


問いかけると、彼は目を逸らしながら返事をした。


沢田さんと言えば、天堂生徒会長の執事。