婚約者の浮気相手は母でした。

「まさか、彼の本命がお母様だったなんて、私は思いもしていませんでした。あなたも、きっとそうですよね、エルシーさん」
「……あの人の本命が、ローライト侯爵夫人だと?」
「あら? 違うのでしょうか?」
「ええ、違いますとも」

 そこでエルシーは、初めて大きな反応を見せた。
 彼女は、私の論を強く否定する。リビルト様の本命に、何かやけにこだわりがあるようだ。

「ですが、彼は現に母と行方不明になっていますよ?」
「……リビルト様は、お優しいですから。きっとローライト侯爵夫人を気遣っているのでしょう。そもそも、彼と夫人が関係を持っているということにさえ、私は懐疑的です。親子程年の差が離れている人と、そんな関係になる訳ないじゃありませんか」

 エルシーは、かなり早口で持論を展開してきた。
 やはり彼女は、リビルト様と何かあったと考えて間違いなさそうだ。