婚約者の浮気相手は母でした。

 エルヴィー侯爵は、感心したような顔をして再度考えるような仕草を見せた。
 そこで私の目に入ったのは、化粧道具の中に紛れていた香水らしきものだ。それはもしかしたら、手がかかりになるになるかもしれない。

「侯爵、この香水の匂いを知りませんか?」
「香水? 匂いですか……確かに、嗅いだことがあるような気はしますが」
「わかりませんか? まあ、一々覚えていられませんよね……」

 香水の匂いを嗅いだ侯爵は、ただ困惑するだけだった。
 流石にこれから個人を特定するのは、無理だったようである
 しかし侯爵は、この匂いを知っているらしい。それならやはり、ここに出入りしていたのはメイドの誰かということになるのではないだろうか。

「侯爵、メイドに話を聞いてよろしいでしょうか?」
「ええ、もちろんです」
「イルルド、あなたは引き続きこの部屋の操作をお願いできる?」
「ああ、僕は構わないよ」

 私の提案に、エルヴィー侯爵もイルルドも力強く頷いてくれた。
 こうして私は、次なる行動を開始するのだった。