婚約者の浮気相手は母でした。

 エルヴィー侯爵の理論は、非常に納得できるものだった。
 二人は私達から隠れようとしているのだ。それなのに、心当たりがある場所を探しても意味はない。非常に単純であるが、とても重要なことである。

「もちろん、そこにいる可能性がないという訳ではありません。余裕があるなら、そこもあたればいいでしょう。ただ力を入れるべきは、我々の心当たり以外の場所です」
「……それは範囲が広大過ぎますね。何か、絞れる要素が欲しいです。そのためにも、リビルト様の部屋を調べていただけませんか?」
「息子のプライベートを探るのは気が引けますが、仕方ありませんな。お二人とも、ついてきてください」
「え、ええ……」

 エルヴィー侯爵の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 私達が入ってもいいのかとも思ったが、侯爵もこう言っている訳だし、とりあえずついて行くことにしよう。