婚約者の浮気相手は母でした。

「……アルメア」
「私は、そんな最低な人の娘です。誇り高きローライト侯爵家の血も引いていない愚かな娘です。本当に……本当に申し訳ありません」

 私はゆっくりとお父様に頭を下げた。
 妊娠した時、お母様はまず私がどちらの子であるのかということを心配したらしい。故に彼女は、生まれてから確かめたのだ。然るべき研究機関に、密かに親子関係の調査を依頼したのである。

 その結果、私の父親がどちらであるかはわかった。
 それは私にとっては、最悪の結論である。私の父親は、敬愛している目の前のお父様ではなかったのだ。

 深い悲しみが渦となって、私の心の中で蠢いている。
 自らのルーツが否定されて、ただのアルメアとなった今は、自分という存在がなんともちっぽけに思えてしまう。

 今までの私の人生とは、なんだったのだろうか。
 ローライト侯爵家の娘として生きてきた自分自身を、私はひどく嫌悪していた。
 偽りによって塗り固められた私が、誇り高きローライト侯爵家を汚したことは、恥じるべき所業である。