婚約者の浮気相手は母でした。

「……なんということだ」

 私が見つけた日記を読んで、お父様はゆっくりと天を仰いだ。
 それは、当然のことである。そこに書かれているのは、彼にとっても衝撃的なことだ。
 しかしこれは、隠していてはならない事柄でもある。故に私は幾分かの勇気を持って、日記をここまで持ってきたのだ。

「アメルタは、過去にも私を裏切っていたということか……」
「ええ、そのようです。お父様と婚約している時から、どうやらその男性と関係を持っていたようですね……」
「そんなこと思ってもみなかった。どうやら私の目は、節穴だったらしいな……」

 お父様は、自嘲気味に笑みを浮かべていた。
 だがお父様に非なんてない。悪いのは全て、お母様である。

 お母様には、お父様と婚約する前から親しくしていた人がいたそうだ。
 その人との関係は、婚約が決まってからも、さらには結婚してからも続いたらしい。

「お父様、どうか自分を責めないでください。悪いのは全て、お母様です。彼女はあなたを何度も裏切り、ひどく傷つけた。最低な人です」