「でもすごいよね。おじさん。ライターなんだ」
と、菜奈。
俺はうなだれた。
「え、なんか悪いこといっちゃった?」
「あ、ああ。別にいいんだ」
俺の顔は暗い。
「ん」
と、菜奈。
「あ、ほんとはさあ、政治とか経済とか報道の記者目指してたんだ。でもさあ、そんなのありえないっていうか。そういうことやってんの高学歴で才能もあってさあ。さえない俺には無理だったっていうかさあ」
俺は後頭部に片手をやって笑った。
「ま、まあ俺なんて三流都市伝説雑誌のライターが落ちさ。都市伝説取材したり、UMAおっかけたり。これが現実っていうか」
「そんなことないよ。都市伝説取材したり、UMAおっかけたり、とっても素敵!」
まあ、JKからしたら、都市伝説とかUMAとか面白そうだろうな。
「ま、まあ普通さ。しょうもない記事書いたりしてさ。なんでもないさ」
「とっても面白そう」
「そうかな」
「私、実は少女漫画家目指してるんだよね」
と、菜奈。
「へえ」
「チャムっていう漫画雑誌に投稿してるんだけど、編集に才能あるって言われてるんだよね」
「え、編集に、もうプロなのか?」
「う、ううん。素人。チャムにはね、漫画を投稿して編集からアドバイスをもらえるサービスがあるんだ」
「へえ。そんなのがあるんだ」
菜奈はうつむいた。またしても暗い顔だ。
「ん」
と、俺。
「あのね。編集の人さあ、すっごく厳しくて。プロットがなってないんだ、とかプロットがだめなら絵をうまく描け、とか言ってくるんだ」
「ああ、それは大変だな」
「うん」
「ま、まあ編集なんてそんなもんさ。俺なんてさあ、「勇作ちゃん、〇〇でイエティー見たっていう情報あるからイエティーの取材行ってきてよ」とかいきなり言われたりさあ。いっつも無理難題ばっかさあ」
「へえ、イエティーの取材とか行くんだあ。とってもロマンチック」
まあ、JKからしたらそうだろうな。
「ねえ、おじさんてさあ、ここよく来るの?」
「あ、ああ。休みの時はだいたい」
「そうなんだあ。じゃあ、私と友達になってくれない?」
え。
「え、だめ」
「あ、いあやあ。俺、こう見えて30越えてんだ」
「えええええええ。おじさんって大人なんだあ」
「はあ、おっさんだよ。君からしたら全然おっさんだろう。それにうさんくさい三流ライターだからさあ、しょっちゅう不審者で通報されてさあ、取り調べ受けたりで、この辺じゃあ、刑事にまでつきまとわれてるんだぜ」
「えええええええ」
菜奈はあたりを見回した。
「け、刑事に追われてるんだあ」
「おい!追われてんじゃねえよ」
菜奈はにっこり笑って片手を後頭部にやった。
「あ、ごめん、ごめん」
俺は笑った。
「でも刑事なんてすごおい。会ってみたい」
まあ、JKならそう思うだろうな。
「菜奈、だったかな」
「うん、そうだよ」
「失礼だけど、年は?」
「16歳」
「へえ。ま、まあこんなおっさんでよかったら」
菜奈は笑った。
「わあ。ありがとう」
「え」
「ねえ、おじさんの隣、座っていい?」
「えええええええ」
「だめ?」
「だって、こんなおっさんと君みたいな若い娘が一緒にベンチに座ってるの、みんなどう思うと思う。俺が女子高生とよからぬことしてんじゃねえかって思われちまうよ」
「あ、そうか。おじさんに迷惑かかっちゃう」
俺は主婦の目線を気にした。公園の主婦がいぶかしい目で見ている。
「最悪、不審者で通報されちまう」
「うーん、そうか」
「疲れたか」
「うううん」
「そうか」
「なんか飲み物買ってこようか」
と、菜奈。
「いいよ。さっき飲んだから」
「そう」
「しかし暑いなあ」
「うん」
「プロットかあ」
「うん、プロット」
と、菜奈はうつむいた。
「起承転結」
と、菜奈。
と、菜奈。
俺はうなだれた。
「え、なんか悪いこといっちゃった?」
「あ、ああ。別にいいんだ」
俺の顔は暗い。
「ん」
と、菜奈。
「あ、ほんとはさあ、政治とか経済とか報道の記者目指してたんだ。でもさあ、そんなのありえないっていうか。そういうことやってんの高学歴で才能もあってさあ。さえない俺には無理だったっていうかさあ」
俺は後頭部に片手をやって笑った。
「ま、まあ俺なんて三流都市伝説雑誌のライターが落ちさ。都市伝説取材したり、UMAおっかけたり。これが現実っていうか」
「そんなことないよ。都市伝説取材したり、UMAおっかけたり、とっても素敵!」
まあ、JKからしたら、都市伝説とかUMAとか面白そうだろうな。
「ま、まあ普通さ。しょうもない記事書いたりしてさ。なんでもないさ」
「とっても面白そう」
「そうかな」
「私、実は少女漫画家目指してるんだよね」
と、菜奈。
「へえ」
「チャムっていう漫画雑誌に投稿してるんだけど、編集に才能あるって言われてるんだよね」
「え、編集に、もうプロなのか?」
「う、ううん。素人。チャムにはね、漫画を投稿して編集からアドバイスをもらえるサービスがあるんだ」
「へえ。そんなのがあるんだ」
菜奈はうつむいた。またしても暗い顔だ。
「ん」
と、俺。
「あのね。編集の人さあ、すっごく厳しくて。プロットがなってないんだ、とかプロットがだめなら絵をうまく描け、とか言ってくるんだ」
「ああ、それは大変だな」
「うん」
「ま、まあ編集なんてそんなもんさ。俺なんてさあ、「勇作ちゃん、〇〇でイエティー見たっていう情報あるからイエティーの取材行ってきてよ」とかいきなり言われたりさあ。いっつも無理難題ばっかさあ」
「へえ、イエティーの取材とか行くんだあ。とってもロマンチック」
まあ、JKからしたらそうだろうな。
「ねえ、おじさんてさあ、ここよく来るの?」
「あ、ああ。休みの時はだいたい」
「そうなんだあ。じゃあ、私と友達になってくれない?」
え。
「え、だめ」
「あ、いあやあ。俺、こう見えて30越えてんだ」
「えええええええ。おじさんって大人なんだあ」
「はあ、おっさんだよ。君からしたら全然おっさんだろう。それにうさんくさい三流ライターだからさあ、しょっちゅう不審者で通報されてさあ、取り調べ受けたりで、この辺じゃあ、刑事にまでつきまとわれてるんだぜ」
「えええええええ」
菜奈はあたりを見回した。
「け、刑事に追われてるんだあ」
「おい!追われてんじゃねえよ」
菜奈はにっこり笑って片手を後頭部にやった。
「あ、ごめん、ごめん」
俺は笑った。
「でも刑事なんてすごおい。会ってみたい」
まあ、JKならそう思うだろうな。
「菜奈、だったかな」
「うん、そうだよ」
「失礼だけど、年は?」
「16歳」
「へえ。ま、まあこんなおっさんでよかったら」
菜奈は笑った。
「わあ。ありがとう」
「え」
「ねえ、おじさんの隣、座っていい?」
「えええええええ」
「だめ?」
「だって、こんなおっさんと君みたいな若い娘が一緒にベンチに座ってるの、みんなどう思うと思う。俺が女子高生とよからぬことしてんじゃねえかって思われちまうよ」
「あ、そうか。おじさんに迷惑かかっちゃう」
俺は主婦の目線を気にした。公園の主婦がいぶかしい目で見ている。
「最悪、不審者で通報されちまう」
「うーん、そうか」
「疲れたか」
「うううん」
「そうか」
「なんか飲み物買ってこようか」
と、菜奈。
「いいよ。さっき飲んだから」
「そう」
「しかし暑いなあ」
「うん」
「プロットかあ」
「うん、プロット」
と、菜奈はうつむいた。
「起承転結」
と、菜奈。