「俺はずっと実里のことが好きだった。だから、俺と付き合おう」


「え、ま、待ってよ。急にそんなこと言われても…」


「あいつの代わりでもなんでもいい。付き合えば俺のこと男として好きになる可能性だってあるだろ。あいつを忘れるために、俺を使え」



これ以上実里が他の男で傷つく姿を見たくなかった。


他の誰かを好きになってほしくなかった。



ずるいとわかっていても、今の俺が実里と付き合える可能性があるのは実里が弱っている時しかないと、そう思ったんだ。



「でも、私…」


「俺だって諦められないんだ。あいつのことまだ好きでもいいよ。無理だと思ったら別れてくれて構わない。試しに、俺と付き合ってみないか？」



実里は真っ直ぐで、優しい。


自分に好意を持ってくれていたのに相談に乗っていた俺への罪悪感が出てくるに違いない。


幼なじみとして俺を大事に思ってくれていることだって知っている。



だからきっと、実里は断れないだろう。本当に俺はずるいやつだ。



「…わか、った」



やっぱり実里は断らなかった。


＊


「今日も二人は仲良しだね」