友達以上恋人未満の片想い

実里の瞳から涙がこぼれ落ちた。



「あ、ち、違うのこれは…っ。ごめん…っ」



慌てたようにゴシゴシと目元を擦る実里の手を、そっと掴む。



「実里は俺のことを好きだと言った。だけどそれは、全部自分に言い聞かせてたんだろ?」


「…遼を好きになろうと思ったの。昔から私のことを好きでいてくれて、ずっとそばにいてくれて、こんな人もう二度と出会えないと思ったから。…だけど、先輩がずっと頭の片隅にいて離れないの」


「…うん」



実里の笑顔を守りたいと、幸せにしたいと心から思った。



だけど、俺じゃダメなんだ。


俺にとって実里じゃダメなように、実里にとってあいつはたった一人の初恋の人。大切な人だから。



「もう実里は自由になっていいんだ。俺を好きになろうとしなくていい。自分の気持ちに正直になってくれ」



もう実里を苦しめるのは、やめにするよ。



「だから俺と、別れよう」



それが実里の笑顔を守るために俺だけがしてあげられることだから。



「…覚えてる?昔の遼は泣き虫で、幼稚園でも生意気な男子達にいじめられていつも私が助けてあげてたよね。ある日、そのうちの一人に私の髪飾りを壊されて、気に入ってたやつだったから一度だけ泣いちゃったことがあって。その時遼は泣きながらその男子に飛びかかってくれたよね。結局その男子だけ怪我しちゃって、先生からも親からもたくさん怒られたのに。遼は昔も今も、私のために自分がどうなろうとも助けようとしてくれる優しい人」



実里が泣きながら、眩しいほどの笑顔を俺に向けた。



「遼はずっと私のヒーローだったよ!」



「ありがとう」と付け加えると、実里はあいつの元へ行ってしまった。